自動車の利用者にとって交通量の多い大都市では、駐車場所の確保が大きな課題です。ニューヨークの場合、市内に生活拠点があれば公共交通機関が発達しているため、地下鉄やバスの移動で事足りますが、ニューヨーク郊外から市内中心部へ車で訪れる場合は、まず駐車場を見つけなければなりません。ニューヨークにも日本と同様、有料の大型パーキングが存在しますが、道路の路肩に駐車することも一般的となっています。住宅街において、自宅に駐車場がない住民は路上に駐車するため、道路の両端に車両が並んだ姿はよく見られる光景です。
路上駐車は無料でできるところもありますが、多くの通りでは基本的にパーキングメーターが設置されており、駐車代金が徴収されます。ニューヨーク市交通局(Department of Transportation)では地域の駐車場の需要や土地の利用状況を考慮して、市内をマンハッタン島内の市街地エリア(Zone M1~3)とそれ以外のエリア(Zone 1~3)の6つに区分し、それぞれ料金設定をしています。
https://nycdot.maps.arcgis.com/apps/webappviewer/index.html?id=d12f03e992d741f89bd3b28d1c106dec
マンハッタン中心部に位置するZone M1とM2内でメーターによる料金徴収されるエリアでは、一般車両は2時間まで、商業車両は3時間まで駐車できます。料金の例を挙げると、Zone M1の一般車両における最初の1時間は4.5ドル(約470円)、2時間目は7.5ドル(約790円)となっています。そのほかのエリアでは、1回当たりの駐車時間の制限はなく、1時間毎の料金に駐車時間を乗じて請求されます。(2020年10月からこちらのエリアについても、Zone M1とM2と同様、駐車時間2時間制限のメーターパーキング制度が導入される予定です。)駐車手続きは簡単で、メーターで料金を支払った後、ダッシュボードの上に、レシートを外から印字が見えるよう置いておきます。
駐車可能な時間帯については、各道路に設置された看板を確認する必要があります。例えば上の写真の緑の文字で記載された看板によると、こちらの道路では日曜を除く午前9時から午後7時に駐車する場合にはパーキングメーターで料金を支払う必要があり、またその際の駐車時間は2時間に制限されていることがわかります。
こちらの赤の文字で書かれた看板には、駐車を意味するParkingのPの文字とほうきで斜線を引いたマークが確認できます。これは路上清掃が行われていることを示しており、指定された時間にその通りへの駐車が禁止されることを意味しています。左の看板がある車線では、月曜日と木曜日の10時から11時30分の間は路上清掃が行われるため駐車禁止となっています。その反対側車線には右の看板が設置されており、火曜日と金曜日に清掃が行われるため、該当する時間の駐車が禁止されています。路上清掃とそのための駐車禁止が片側道路ごとに行われるため、片側駐車規制(Alternate Side Parking regulation)と呼ばれており、路上に駐車している車は清掃が行われない反対側車線や他の道路に車を移動させる必要があります。
この片側駐車規制は1950年代に導入され、休日や悪天候を除いて実施されてきましたが、多くの市民や市を訪れる人々にとって悩ましいものでした。市は今回のコロナウイルスの影響による市民の負担を少しでも軽減するため、6月29日からパーキングメーターが設置されていない通りにおいて、清掃日が週に数日設定されている場合、最後の曜日のみ清掃を行うこととしました。これにより、これまで週に2回以上車を移動させていた住民は、週に1度だけ移動させればよいことになり、負担は減ったことになります。この規制緩和は一時的なものではありますが、今後の状況を見ながら、継続するかどうか検討が行われます。いずれにしましても、ニューヨークで路上駐車をする際は、まず駐車規制の看板を見つけて内容をしっかり確認する必要がありそうです。