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インディアナ州のコロナ対策について②

 今年2月5日に本サイトに掲載したインディアナ州の新型コロナウイルス対策について、その後の経過を踏まえて内容を更新することとしたい。
(インディアナ州のコロナ対策について⓵(2月5日掲載分)はこちら

(1)インディアナ州のコロナウイルスの現状について

 インディアナ州もアメリカの他州と同様、2020年秋頃から感染が再拡大していたが、年明け以降は減少に転じた。1日当たりの感染者数は、2021年3月下旬から若干増加傾向にあるものの1,000人程度で推移している。一時1日5,000~6,000人の感染者が確認されていたころに比較すると現在は落ち着きを見せている。また、ここ最近の死亡者数は一桁を記録している。

PCR検査実施件数 9,478,262件(陽性率(累計)21.3%)

感染者数 累計709,455人、1日当たり723人

入院患者数(感染確認中の者を含む) 891人

死亡者数 累計12,826人

(以上、いずれも2021年4月19日現在)

(2)コロナ対策について

 2020年9月24日にホルコムインディアナ州知事により発令された行政命令20-43を受けて、①7日間の陽性率と②住民10万人当たりの1週間の感染者数から算出されたポイントにより、感染状況の変化を郡ごとに色で分類している。同年11月15日に発令された行政命令20-48により、その色分けに応じて集会の人数に上限を設けるなど様々な対策が開始された。現在は、最も状況が深刻な赤に該当する郡はなく、最も状況が落ち着いている青に分類される郡がおよそ半数を占める状況にまで改善されている。




【参考】




 それぞれの基準で算出されたポイントの合計値の平均(2で除した値)が以下のいずれに該当するかで、その郡の1週間の色の分類が確定する。

 青色の郡 0もしくは0.5ポイント

 黄色の郡 1.0もしくは1.5ポイント

 オレンジ色の郡 2.0もしくは2.5ポイント

 赤色の郡 3.0ポイント

例:



 この状況改善を受けて2021年3月31日に発令された行政命令21-9では、これまで州一律に課されていた社交的な集まりやイベントにおける人数制限に関する規定を削除した。代わりに地域の保健当局がコミュニティーの感染状況や郡の色分け、開催予定の集会の規模などにより個別に、かつ柔軟に規制ができるようにした。また一時設けられていた学校の課外活動等に対する人数制限などの州一律の規制も廃止されており、こちらも地域の保健当局が参加人数の上限を定める方式に変更されている。

 今回の行政命令でも、引き続き6フィート(約1.8m)の社会的距離の確保やマスクの着用について規定は残っている。一方で、これまでマスクは屋内の施設や公共交通機関で着用が義務付けられていたが、今回の改正により屋内における着用義務が州政府の施設内などに限定され、公共交通機関における着用義務がなくなるなど規制の緩和が確認できる。

(3)ワクチン接種の状況について

 インディアナ州におけるワクチン接種は、医療従事者を対象に2020年12月14日から開始された。1月8日からは80歳以上の高齢者が対象となり、3月31日からは16歳以上であれば国籍を問わず誰でも接種が可能となっている。4月23日時点で、これまでに238万人を超える住民が少なくとも1回の接種を終えており(州人口の約35%)、160万人以上が接種を完了している(州人口の約25%)。ワクチン接種は州内の病院や薬局を中心に700を超える施設で行われている。また、会場によっては、ドライブスルー形式や無料の乗り合いタクシーを活用して足を運ぶことができるシステムを導入している所もある。


①予約

 ワクチン接種を希望する人は、まず州のホームページから予約を行う必要がある。接種希望者のZIPコード(郵便番号)を入力すると最寄りの会場が表示され、希望の日時を選び、氏名、生年月日など簡単な個人情報を入力すると、予約が完了する。


 ただ、このシステムはインターネットなどITを活用できないとアクセスが難しい。そこで州ではホームページからの予約に対応できない人を対象に、電話による予約を受け付けているほか、州内のおよそ70の図書館が電話もしくは対面の形式で予約のサポートに当たっている。コミュニティーの中で信頼のおける施設である図書館がサポートすることで、ITに不慣れな高齢者のほか、ワクチン接種を渋っている人を後押ししようと取り組んでいる。

②接種当日(※1

 接種当日は会場到着後、IDの提示及び接種要件(年齢要件等)の確認が行われる(※2)。実際の接種エリアに移動し、担当者から体調等について問診が行われた後、接種が行われる。終了後は約15分間会場に留まるよう指示を受け、経過観察が行われる。ワクチン接種は無料となっている。2回目の接種が必要な者は、その場で日程が伝えられる。

 また、インディアナ州はワクチン接種後にCDC(アメリカ疾病予防管理センター)とFDA(アメリカ食品医薬品局)が管理運営する「v-safe」(※3)というスマートフォンを用いたオンライン上の健康状態の追跡システムへの登録を推奨している。登録後は、週に1度、5週間にわたって5分程度で回答ができる調査票がテキストメッセージで送られる。2回目のワクチンを接種した人は、さらに6週間調査が継続される。v-safeによりCDCがワクチン接種者の副作用の情報を収集し、ワクチンの安全性を監視するとともに、健康上の深刻な問題が発生した場合にCDCの専門家が素早く調査研究できる体制を整えている。

(猪丸所長補佐 広島市派遣)