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ニューヨークで自動運転車両に乗ってみた

2019年から自動運転車両“Optimus Ride”がニューヨーク市内で運行していることを知り、乗車体験へ行った。

運行場所は、ニューヨーク・ブルックリン区にある、ブルックリンネイビーヤードと呼ばれる敷地面積300エーカー(約1.21㎢)からなる工業団地内であり、Optimus Rideを開発したオプティマスライド社を含む450以上の企業がネイビーヤード内に入居している。Optimus Rideは、下図のように、NYCフェリーのドック72番乗り場からFlushing Ave.方面のビル77やカンバーランドゲートまでの約1マイル(約1.6㎞)に渡って、乗客を輸送している。この場所で運行が始められた理由として、ニューヨーク州では、公道において自動運転車両の試験を行う際には、試験に関する報告書の提出や保険への加入義務等の規定があるが、ネイビーヤードは公道ではないため、ニューヨーク州の規定を回避することが可能であることがある。また、ネイビーヤード内には1万人近くが働いており、自動運転車両の利用者として見込めることも挙げられる。

オプティマスライド社のホームページより

運行時間は、平日・週末ともに午前7時から午後10時30分の間とされているが、新型コロナウイルスの影響により、当面は平日のみ午前7時から午後9時までとなっている。

運営会社は、2015年に設立されたオプティマスライド社という、マサチューセッツ工科大学にルーツを持つ企業で、社員の多くが同大学の卒業生である。自動走行技術、電気自動車、オンデマンド交通に関する30年以上にわたる研究を横断的に結び付けて、Optimus Rideが製作されている。

実際に、フェリー乗り場から乗車した。フェリーの到着時刻に合わせ、2台のOptimus Rideが待機していた。各々の車には、運転手と情報処理担当者の2名が乗車し運行を行っていた。彼らの役割は、安全に走行させることは勿論、システムを監視し、エンジニアへ情報をフィードバックしている。運賃は無料であった。下に掲げるのは、乗車する際に前方から撮影をした写真である。複数のカメラやセンサーが装備されていた。

車内は、運転席と助手席を除き、2列のシートが用意され、4名が乗車できるスペースとなっていた。トランクスペースは無い。新型コロナウイルス対応で、車内は、飛沫防止のために各列が透明なシートで区切られていた。

次は、最後列座席から前方の車内を撮影した写真である。

車両速度については、運転手等を含む6人が乗車した場合、時速25マイルまで出すことができるが、ネイビーヤード内の速度制限に合わせて時速15マイル(約24キロメートル)を上限として運行している 。実施に乗車した際も、スピードが速いという感覚は無かった。

次は、降車後、車両の後部を撮影した写真。

筆者は、オプティマスライド社のホームページ(※1)に掲載されている動画のように、運転席にハンドルが無くかつ運転手不在の自動車に乗車ができると期待をしていた。しかし実際には、自動運転ではあるものの、残念ながら無人のOptimus Rideを体験することはできなかった。そこでオプティマスライド社へ問い合わせたところ、動画は、デモンストレーション用の映像であり、現在はまだ、安定的な自動運転車両の実現に向けてのテストを行っている最中であり、無人運行可能な自動運転車両の実用化には至っていない旨の回答であった。

近い将来、無人のOptimus Rideに乗車してみたいものだ。

(※1)オプティマスライド社のホームページhttps://www.optimusride.com/

(松尾所長補佐 大分市派遣)