ニューヨーク市長国際関係室と同移民支援室は、ニューヨーク公共図書館と連携し、移民に対して多様なサービスがさらに効果的に提供できるよう体制の再整備を図りました。具体的には、デブラシオ市長の目玉政策のひとつを推進するために、移民にとってニューヨークがより暮らしやすくなるように市のサービスに関する情報提供やアクセスの見直しを行うなど、協力体制の強化に取り組みました。
主に、次の三つの事業がインクルージョン推進の中心となっています。(1)ニューヨーク市独特の身分証明書であるIDNYCの発行、(2)市が提供するサービスや防災教育等の課題とともに、どのように自分がコミュニティーを支援できるかを教える「権利を知っておく」(Know Your Rights)の周知、(3)英語を学習する機会と市が提供するサービスをどこでアクセスできることを同時に教える「ウィー・アー・ニューヨーク」(We Are New York)というビデオシリーズの提供。
IDNYCは、身分証明証としての機能に加え、市のサービスへのアクセスをよりしやすくする目的を持っています。さらに、ニューヨークにある一部の美術館や他の文化施設に一年間無料で入場できる特典や図書館の入館証としての機能も含まれています。大手の銀行は現在参加していませんが、比較的小さなコミュニティの銀行等でも口座の開設に利用できます。9月現在で、86万人以上がIDを持っています。申請するには、図書館や臨時に設置される申込センターで申込書と身元と住所を証明する書類を提出し、その後、写真撮影等を行ったうえでIDをもらいます。2016年12月31日まで無料で申し込めます。
Know Your Rightsは、サービスへのアクセスの向上や防災教育という基本的な目的を持っていますが、詳しい内容は各コミュニティの持つ特徴に合わせ、適宜、訂正されることになります。
We Are New Yorkは、台詞と映像のエミー賞をもらっています。現在、十本のビデオが完成しており、その内容としては、移民がよく直面する問題をベースにユーモアと英語のレッスンを交えながら、いかに市のサービスを利用して解決すればいいかを伝えています。このビデオは、コミュニティアクセステレビとオンラインを通じ、五つの言語で見ることができます。さらに、番組による情報提供と共に、各コミュニティで活動するボランティアや弁護人のネットワークの構成にも取り組んでいます。
これから、連邦政府は移民(特に不法移民)に対して厳しくなりそうですが、ニューヨーク市をはじめ特に都会に住み、働く人々が、引き続き移民を歓迎し、支援する努力をしていくことを期待したいと思います。
Matthew Gillam
2016年11月