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地域社会に根ざした計画で都市の活力を維持

都市開発の指針を示し開発を促進するための全体計画を策定するプロセスにおいては、地域社会に根ざしたプラニングを行う必要がある。地域社会の問題を正確に理解し、特定することができる人たちこそが、問題解決に情熱を傾けて取り組むことができるからである。

近年、地域社会の問題は慢性的な課題を中心に論じられている。それらは、非行集団の存在、麻薬、貧困、荒廃した住居、社会を覆う無力感、そして失業である。こうした問題が依然として際立っている理由は多くあるが、地域社会の問題を発生させる特徴的な要因として、地域財産の質の低下(又は消失)があげられる。地域財産とは、人的資源、組織的資源の双方を含み、それらは地域の活力を維持すると同時に、地域社会の交流を促進し、問題解決プロセスにおいて確固とした役割を果たすものである。

一般的には、計画立案の前提となる「地域社会」の定義は、「地理的に区分けされた場所に住む人々の集団であり、価値観と信条を共有し、多くの場合共通の文化を有している」と概括される。地域社会はまた、そこで働く人々や組織によっても定義される。その結果、その地域において影響力を有する政治家や実力者によって地域社会全体が特徴づけられることとなる。こうした場合、計画策定は単純で機械的な問題解決手法を採用することとなる。「何を、誰が、何時、何処で、どのように行い、何が達成されるのか」

地域社会と計画策定を結びつける考え方は、米国や他の国において、1950年代に始まった。1960年代になると、地域社会に根ざした計画策定の手法は、計画実行における特効薬として、計画立案者、政治リーダーによって利用されるようになった。独立機関が続々と登場し、計画策定と地域社会の参画を融合させることで、地域レベル、国家レベル双方において増加する都市問題、社会問題に対処する手段を模索するようになった。米国では、政治レベルの取組として、コミュニティ・アクション・プログラムが連邦政府により策定され、市民参加を最大限促進するための真剣な努力が続けられている。地域社会に根ざした計画策定の試みは、年を重ねるごとに発展し、現在では様々な形をとっている。地方組織への参加にとどまるものから、計画として公式に採用され実施に移される包括的なものまで、幅広い参加形態が存在する。今日、地域社会に根ざした計画策定は、幅広い分野の課題を対象とする道を模索している。地域の独自性の保全、低所得者用住宅供給の促進、新たな開発の推進、そして地域における雇用の創出などである。こうした目標は、土地利用計画の見直しと連動した地域計画の策定、そして特別チームの編成などの努力によって成し遂げられるのかも知れない。

 

執筆者: Stephen Fasano, Senior Resercher

 

参考