2012年6月28日
7月からスタートするニューヨーク市の自転車シェアリングについて、市のHPに掲載されている「良くある質問」からいくつか紹介する。
ステーションが一杯で自転車を返却できない / ステーションに自転車がない場合
- 全ての自転車がICチップを搭載しており、GPSで所在が確認できる。利用者はインターネットやスマートフォンでリアルタイムで各ステーションの状況を確認可能
- 各ステーションで返却可能な最寄りステーションを表示(コールセンターでも24時間対応)
- 200人の係員が定期的に巡回し自転車のシフトを行い、自転車の集中を防ぐ
- 運用開始後は、利用実態を反映しステーションの規模や場所の変更、自転車のシフトスケジュールを最適化して行く(ステーションは基礎工事が不要なユニットを使用するため、容易に配置変更ができる)
盗難された場合
貸し出し中に鍵を掛けずに自転車を離れるなど、利用者の責任で盗難された場合、利用者は自転車の補充費用として1,000ドルを支払わなければならない。一旦スタンドに返却してしまえば利用者は責任を負うことはない。GPSは盗難対策としても活用される。
ヘルメット
ニューヨーク市には、ヘルメット着用を義務付ける規則はないが、市は着用を強く推奨している。市と自転車業界との協力により、ヘルメットの割引購入を実施する。各ステーションにはヘルメットを販売する自転車ショップの地図を表示する。
運用開始日
Most likely in the second half of July(たぶん7月後半)。
まずロワー・マンハッタンにステーションを設置し、順次アップタウン、イーストリバー対岸へと拡大していく。(どうやら、まずはやってみて、拡大しながら修正もしていくという極めて柔軟な発想のようである)
冬季や悪天候の時
基本的に365日24時間運営するが、天候の状況に応じて一時的に自転車をロックし、または撤去する場合がある。天候が回復次第運営を再開する。(ボストンでは冬季は全面的に運用を中断する)
ところで、自転車シェアリングは自転車販売店にどのような影響をあたえるのだろうか。自転車販売台数の減少など、マイナスの影響があるのではないかと、ボランティアのLeroy氏に聞いてみた。すると、民間事業者には次のようなメリットがあるとのこと。
- 自転車シェアリングのメンバーにはヘルメット購入の割引クーポンが与えられ、自転車販売店はヘルメットその他の用品の売り上げ増が期待できる。
- 無料配布のヘルメットはあまりオシャレではないので、多くの利用者はよりスタイリッシュで高額なヘルメットを購入するだろう。
- 自転車シェアリングで自転車の楽しさに目覚めた人の中には、短時間の利用で満足できなくなったり、マウンテンバイクに興味を持ったりして、新規購入の掘り起こしにつながる。
- こうしたことで、自転車の売上は増加し、用品の売り上げや、修理・メンテナンスの需要も拡大する。
自転車シェアリング先進都市のロンドンではこんなにお洒落なヘルメットも
果たして思惑通りに自転車やヘルメットの売上が増加するのか、短期的に答えが出るものではなさそうだ。
参考
- ニューヨーク市の自転車シェアリング(その3)
- ニューヨーク市の自転車シェアリング(その2)
- ニューヨーク市の自転車シェアリング(その1)
ニューヨーク事務所次長 園原 隆(東京都派遣)