2012年7月27日
2012年7月19日、フロリダ州セント・ルシ-カウンティ議会で、クレアニューヨーク事務所職員による同カウン
ティの財政再建の成功事例調査に対する謝辞がResolution(決議)第12-145号として採択された。
“Resolution No. 12-145″を持つセント・ルシーカウンティ議会Mowery議長(左)と筆者(右)
セント・ルシ-カウンティ議会及び市民予算委員会メンバー、カウンティアドミニストレーター、カウンティスタッフと
セント・ルシーカウンティは、2008年のリーマン・ショック以降、深刻な財政危機にさらされた。2009年、カウンティは5,700万ドルの財政赤字、二桁の失業率、全国でも最高レベルの差し押さえ率に直面した。しかし、2009年1月からわずか2年で、財政赤字を2,300万ドルに縮小するなど、カウンティは飛躍的な進歩を遂げた。成功の立役者はカウンティアドミニストレーターのFaye Outlaw氏。フロリダ州・市カウンティ支配人協会(フロリダ州ICMA)から2011年のキャリア優秀賞を受賞、米国の雑誌”American City & County”では2011年の“County Leader of the Year”に選ばれるなど、全米でも高い評価を受けている。
セント・ルシーカウンティの財政再建における成功の秘訣を調査するため、今年7月に現地へ飛んだ。私が訪問した7月16日からの1週間は、まさに”Budget Week”で、カウンティ議会へ新年度予算の説明を行うBudget Review、それに先立つ市民予算委員会への説明、カウンティ議会の来年度暫定予算案及び暫定税率の採択が行われた。Outlaw氏からの提案で、カウンティの予算編成プロセスを学ぶ最も相応しいとして、この時期の訪問が実現した。市民委員会では1回の会議では議論が終わらず、急遽2回目の会議が2日後の早朝開催されるという展開も目の当たりにした。
セント・ルシーカウンティは、パートナーシップの構築でも成功を収めており、創造的なパートナーシップの実現により多くの資金や人的サポートを得ている。滞在中、太陽光エネルギー融資ファンド、歴史センター、クリニックなど、パートナーシップ団体によって運営されている機関や施設を訪問し、設立者やボランティアスタッフなどから話を聞くとともに、地域の経済団体である商工会議所や経済開発評議会も訪問し、地域の経済事情についての情報収集を行った。
7月19日(木)に開催されたカウンティ議会予算特別委員会の最終決議案は、セント・ルシーカウンティの財政再建成功例を学ぶことを選んだ、「広島市及び(財)自治体国際化協会を代表する牧 直美」への謝辞であった。決議案が読み上げられ全員一致で採択された時は感極まって涙しそうになった。議員や市民予算委員などに対する議場での緊張した質疑応答に始まった1週間にわたる現地調査、また、セント・ルシーカウンティを調査対象に決めて以来、地道に行ってきた事前調査の努力が報われた瞬間であった。
インタビューには常にカウンティのスタッフが同行し、Outlaw氏や予算局幹部は、”Budget Week”の超多忙な中、インタビューの時間を割いてくれた。市民委員や議員も気軽に声を掛けてくれた。セント・ルシーカウンティの多くの人々の献身的な協力に心から感謝するとともに、この事例を日本の自治体へ紹介できることを誇りに思う。
詳細については後日クレアレポートとして報告する。
カウンティ・アドミニストレーターFaye Outlaw氏へのインタビューの様子
民間企業及び金融機関とのパートナーシップの構築により低金利融資を実現した「太陽光エネルギー融資ファンド」
Resolution No. 12-145
レポート完成前に感謝の意を込めて
ニューヨーク事務所 牧所長補佐(広島市派遣)