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姉妹都市交流 手紙が繋ぐ広島とホノルルの子どもたち-広島市長ホノルル訪問 その2-

広島市とホノルル市は1959年の姉妹都市提携以来、幅広い分野で友好関係を育んでいます。その一つに、小学校交流があります。ソーシャルメディアやEメールといったツールをまだ使いこなすのがまだ難しい小学生の子どもたちが、手紙や作品の交換によって、18年もの長きに渡り友情を深めていることをご紹介します。

牛田新町小学校でフラダンスを披露するホクラニ小学校の子どもたち(2007年11月撮影)

ホクラニ小学校ロゴマーク

広島市の牛田新町(うしたしんまち)小学校とホノルル市のホクラニ小学校の交流は、1995年に広島市で開催された「こども平和のつどい」に、ホクラニ小学校の児童4名が参加し、牛田新町小学校を訪問したことから始まりました。翌年、牛田新町小学校からは子どもたちの手紙と作品が送られ、2年後となる1997年にはホクラニ小学校の子どもたち約15人が、マリリン・ヒガシデ教諭らとともに再び牛田新町小学校を訪問しました。

ホクラニ小学校の子どもたちはフラダンスや歌を、牛田新町小学校の子どもたちは歌を披露。教室では一緒に給食を食べながら、折り紙や駒遊びなどを行いました。一行はこのほか、平和記念資料館や、宮島、広島城を訪問したり、お好み焼きなどローカルフードにも親しみました。その年以降、隔年でのホクラニ小学校から牛田新町小学校への訪問や、手紙や平和を題材にした絵画など作品の交換といった交流が続いています。

今年6月にはホノルル市で、広島市の松井市長とホクラニ小学校の子どもたちとの交流会が行われました。市長への質問コーナーでは、子どもらしいストレートな質問が次々と出されました。松井市長は、牛田新町小学校の児童から預かった、平和を題材とした貼り絵と児童が色を塗った駒を贈り、ホクラニ小学校の子どもたちからは生花のレイやお菓子が贈られました。

次々と質問をするホクラニ小学校の子どもたち

市長が取り出した駒を見て立ち上がった子どもたち。左手前がステイシーの娘カッシー

市長交流会には、1997年に初めて広島を訪問したメンバーの一人、ステイシーも参加していました。当時、教育委員会で同校の受け入れを担当した私とは、実に15年ぶりの再会となりました。ステイシーは私のことをよく覚えており、私が記憶していない思い出も語ってくれました。そして自分は今、小学校教員として働いており、自分の子どもが2010 年に訪問団の一員として広島を訪問したことを教えてくれました。当時まだ小学生だったステイシーが大人になり母になり、そして自分が体験した広島の素晴らしさを自分の子

どもに伝え、その子どもが広島を訪問したのだと思うと、思わず胸が熱くなりました。

ホクラニ小学校の子どもたちと松井市長。子ども2人が持っているのが牛田新町小学校から贈られた貼り絵。

15年ぶりの再会を果たした(左から)ステイシー、筆者、ヒガシデ教諭

青少年交流は費用対効果という点において成果が見えにくく、また即効性にも乏しいため、財政面で自治体の体力が弱っている時には支援を続けていくのが難しいのが現実です。しかし、ステイシーのケースは、子どもの時に受けた良い印象はいつまでも忘れられない記憶として残り、世代を超えて語られるということを改めて気付かせてくれました。正に「継続は力なり」で、そうした小さな絆を守っていくことの大切さを改めて実感しました。「青少年交流が観光振興の芽となるのか」。現在の自治体にとっての命題はここにあるのかもしれません。しかし、長い時間をかけて友情を育むことと果実を求めることのバランスが重要と考えます。最初は小さな広島ファンかもしれないけれど、きっと彼らは多くの子どもや孫を連れて広島へ戻ってきてくれるでしょう。

 

2012年8月3日

ニューヨーク事務所 牧所長補佐(広島市派遣)

参考