コネティカット州ニュータウンでの乱射事件は、巻き込まれた人たちだけではなく、全米の家族や教育関係者に影響を与えている。近年、学校での乱射事件の多発を踏まえ、学校の安全管理体制は厳しくなり、従来の竜巻や火事の避難訓練の上に、「ロックダウン」(鍵を締め切る)の訓練も実施するようになった。それに加え、精神面のケアも重視され、事件が発生したら子供たちをどうやって安心させ、事件が終わってからはどのように話せばいいかを考えるようになった。
新聞などの報道によると、ニュータウンのサンディフック小学校での乱射事件の際は、教員たちや校長先生は訓練どおり動き、同僚に情報を知らせたり、ドアを閉めてロックをかけたりしてから、子供たちをできる限り安全な、見えないところに潜めさせ、歌を静かに歌わせたり、ぬいぐるみを抱かせたりしていたそうである。(校長先生は犯人に立ち向かい、犠牲者の一人となった。)警察が来て子供たちを隠れ場所から外に連れて行くときは、廊下などで散乱している犠牲者が見えないよう、子供たちは警官の指導に沿って列を作り、前の人の肩に両手を置き、目をつぶり、外について「いい」といわれるまで目をあけなかった。それから、すぐそばにある消防署に行き、迎えの人が来るまでテレビを見たりしながら待っていたそうである。
ニュータウンはそれからすぐに、隣の町でサンディフック小学校の代わりの校舎を用意した。ニュータウンのすべての学校は月曜日が休みとなったが、カウンセリングや近くのスポーツセンターでのゲームなどのサービスを提供した。サンディフック小学校以外の学校は火曜日から授業を再開したが、勉強より事件に関するディスカッションやカウンセリングを行った。サンディフックの生徒たちは1月3日から代わりの校舎で授業が再開された。子供たちをなるべく安心させ、事件前の雰囲気を取り戻すために、写真を使ったりして新しい教室をできる限りもとの教室とそっくりの形にしているとのことである。ただ、犠牲者の葬儀が続く間、平常の気持ちにはなりがたく、カウンセリングなどがこれから長い間行われることになるだろう。
事件への対応は、ニュータウンだけではなく、全国的に行われている。警備を厳しくしながら、あらゆる計画を見直し、この凄まじい教訓を生かそうとしている。同時に、親も教育関係者もどのような話をすればいいかを探りながら子供の質問に答えようとしている。一般的に、専門家などによると、とても幼い子供であれば、質問されない限り、何も言わないほうがいいといわれている。小3前後の小学生の子供の場合は、安全対策など、一般的な話が一番適切であるが、それより年上の子供の場合、もっと複雑な話、例えば乱射事件の原因等、ができるだろう。
2012年12月19日
(2013年1月4日更新)
Matthew Gillam, Senior Researcher