アメリカ西海岸に広大に広がるロサンゼルス市を訪れ、あちらこちらで日常的に発生する交通渋滞に巻き込まれた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。市内で車を運転して、実際に体験した人もいるでしょう。ロサンゼルス市は、アメリカでは典型的な車社会の都市です。公共交通の利用促進による交通渋滞の緩和への取組は行われていますが、いずれもあまり成果をあげていません。しかしロサンゼルス市は、新たなシステムを取り入れ、交通渋滞を緩和することに成功しました。
この取組は、ロサンゼルスオリンピックが開催された1984年、オリンピック村とメイン会場周辺の車両の流れを円滑にしようとしたことを契機として始まりました。現在、ロサンゼルス市は約30年の月日と4億ドルの経費をかけ、469平方マイル4,500の信号機すべてをコントロールすることに世界で初めて成功したのです。
この交通制御システムは、市のコンピューターエンジニアによって独自に開発されました。このシステムでは、道路に埋め込まれたセンサーによって交通状況がモニターされ、毎秒中央制御センターに情報が送られます。注目すべきなのは、道路の渋滞情報がメインコンピューターへと送られ、自動的に全ての信号機を調整することができる点です。市のシステム管理者が操作しない限り、このシステムは完全に自動制御されています。
現在のビヤライゴーサ市長の任期は今年の6月までですが、同氏が公約として掲げていたこの交通制御システムの完全始動を果たすことができ、大変誇りに思っています。市長は「すべての信号機を制御することで、渋滞による待ち時間を減らし、無駄な時間を省くことができる。」と述べています。移動時間は16%縮減され、平均時速は15マイルから17.3マイルへと改善されたのです。
詳しくは、以下のウェブサイト(英語)をご参照ください。
2. http://articles.latimes.com/2013/mar/14/local/la-me-holland-signal-20130315
信号制御に関するロサンゼルス市交通局の概要報告書:
http://ladot.lacity.org/pdf/PDF307.pdf
Senior Researcher, Seth Benjamin
市役所庁舎の中にある交通監視センターにおいて渋滞状況をチェックする市担当者。
ロサンゼルス市のすべての信号機は中央制御されている。
(Los Angeles Times 2013年3月7日の記事より掲載)