トモダチでありがとう
2013年8月26日、ジャパンソサエティの舞台に立った達増拓也岩手県知事へ、約200名の参加者から熱い拍手が送られた。岩手県知事が開催した復興支援感謝イベント「トモダチでありがとう~東日本大震災津波岩手県復興報告~」のことである。
達増知事は、震災被害の大きさ、震災後2年を経過した今、岩手県がどのように復興対策に取り組んでいるかについて英語でプレゼンテーションを行った。岩手県が困難に負けず、力強く復興に向けて頑張っていること、そしてそれを支えているのは、日本国内のみならず、世界中からの暖かい支援のおかげであることが述べられた。とりわけ、米国は日本にとって最大の支援国である。米軍の「トモダチ作戦」や多くの義援金などの支援がいかに日本の力になったかを日本人は決して忘れないとして、心からの御礼が述べられた。
また、米国国務省海外担当のドリュー・シュフレットスキー氏、米日カウンシル理事ゲーリー・モリワキ氏から、日米の友情が今後も続いていくことを祈念するスピーチが行われた。
英語でプレゼンを行う達磨拓也岩手県知事
米国国務省ドリュー・シュフレットスキー氏と握手を交わす岩手県知事
さらに、復興支援のため、岩手県や宮城県などの避難所をめぐり、歌で被災者を元気づける活動を続けているカリフォルニア州在住の歌手、八神純子さんによるミニコンサートが行われ、被災地の子供が描いてくれたカードにインスピレーションを受けて作ったという「かれ木に花を咲かせましょう」や復興応援ソング「翼」などが披露された。岩手県は、もともと水産業が盛んであったが、津波で壊滅的な被害を受け、漁ができなくなった。八神さんが地元の漁師さんに、今1番必要なものは何かと伺ったところ、船のエンジンが欲しいとの答えが返ってきた。早速寄付を募る活動を開始した八神さん。そして、八神純子と刻まれたエンジンのついた船で漁師さんと一緒に漁に出る八神さんがスクリーンに映し出され、そこでは、念願の牡蠣の漁が再開されていた。地元に入り、現場で本当に必要とされる支援をしている八神さんの活動は、見ている参加者の胸を打つものであり、会場で涙を拭う参加者も見られた。
また、引き続き行われたレセプションでは、いわて牛のステーキやしゃぶしゃぶなど県産品を使った料理や地元の酒のPRも行われた。、さんさ踊りや岩手県民謡協会による演奏などもあり、岩手県の復興への意気込みと魅力がアピールされ、参加者は高い関心を寄せていた。また、会場には復興の様子を伝える写真も展示された。
意義深かったイベント
今回はメインイベントである復興状況報告及び支援への御礼だけではなく、昨年から米国への輸出を開始したいわて牛など県産品のプロモーション、さんさ踊りなどの文化紹介、ステージ上で英語劇「葉っぱのフレディ」を好演した小学生3人と高校生10人を含む青少年育成など、多くの副次的効果のあるイベントだった。また、渡米中の同県二戸市長も参加し、南部美人などの日本酒をアピールするなど、県と市が連携した総合的なプロモーションとしても効果を上げた。
当事務所関係としては、岩手県JETとして、英語教育に携わったJETOB4名もイベントに出席し、知事と対面を果たした。JET参加者からは、このような形で、米国で岩手県のイベントに参加できたことは本当に嬉しく、今後も日米の友好発展に協力していきたいとのコメントがあった。
今回のイベントは、入場、退場時の高校生による出迎え、見送りなど、岩手県の真心が参加者に届くような配慮が感じられるイベントであった。日本の自治体がこのようなイベントを独自で主催されたことに敬意を表するとともに、クレアとして今後もこのような自治体の取組への支援を積極的に行っていきたい。
歌手の八神純子さんと英語劇を好演した小学生
岩手県知事、JETのメンバ-、当事務所の記念撮影
(鷲岡所長補佐 和歌山県派遣)