近年、米国では市町村・警察署・消防署等の運営や業務について広く市民に紹介するために「市民アカデミー(Citizen’s Academy)」という教育プログラムが実施されるようになりました。連邦捜査局(Federal Bureau of Investigation / FBI)も15年以上前から「市民アカデミー」を提供しています。
2012年、ミネソタ州のミネアポリス市でも、こうした取り組みに倣い、「シティ・アカデミー(City Academy/市民講座)」が設立されました。
ミネアポリス市で「シティ・アカデミー」を担当している地域共同体関係部局(Neighborhood and Community Relations)職員のハワード・ブリン氏によると、同じミネソタ州内で他の自治体が行う同様の取り組みを見て、同市でも「シティ・アカデミー」実施が決定されたとのことです。
ミネアポリス市の取り組みで特徴的なのは、市民に対して市の行政サービスを紹介するだけでなく、これまで、市行政府に関わる機会のなかった住民を巻き込み、市の諮問会議や委員会への参画などを促す仕組みとしても位置づけられていることです。ミネアポリス市警察や同市周辺のカウンティでも「市民アカデミー」は開催されており、これらと「シティ・アカデミー」が区別できるよう、また、市民権(citizenship)を持たない住民にとっても馴染みやすい取り組みとするため、「シティ・アカデミー」という名称が採用されました。
開催1年目(2012年)は、幅広い年齢層から、在住期間が異なる26名が参加しました。(18歳以上であれば、だれでも参加可能です。)参加者からは、市の業務や運営方法について学ぶことで、想像していた以上に質の高い行政サービスが提供されていることが分かったなどの感想が寄せられました。始まったばかりの取り組みであり、これまでのところ、市が目的とする諮問会議や委員会への住民参画までには至っていませんが、今後の展開が期待されます。
ミネアポリス市では、今年7月から、2年目を迎える2013年度「シティ・アカデミー」の参加者募集を開始しました。今年は、9月から10月にかけて開催されます。2013年度「シティ・アカデミー」では、“市緊急管理センターの視察”、“消防活動の最新技術の説明”、“上下水道の運営説明や施設見学”、“市の都市計画や計画実施”、“警察業務の仕組み”、“課税制度や予算の承認制度”などについて講座が開催されます。
講座は週1回、時間は午後6時30分から9時まで、5週間連続で開催され、各講座は各回ひとつのテーマ(例えば消防業務など)を取り扱います。
「シティ・アカデミー」の詳細については、ミネアポリス市のウェブサイトをご覧下さい。
http://www.minneapolismn.gov/ncr/MinneapolisCityAcademy
上席調査員 Matthew Gillam