ニューヨークで生活をしていると犬を連れて歩くニューヨーカーをよく目にする。また、筆者が居住しているアパートでも、犬の散歩に行く人とすれ違うことがよくある。ビッグアップルの地で犬とともに生活をするニューヨーカー達は、どのような点に留意しながら犬を飼っているのだろうか。
The DOG PEOPLEという犬の飼い主向けのサイトは、ニューヨーク市の愛犬家は5つの規定を知る必要があると述べている。
1.犬用の鑑札は更新を必要とする
日本では、犬の登録は一度行えばよいが、ニューヨーク市では、鑑札を更新する必要がある。遅くとも有効期限が切れる1か月前までに、郵送またはメールにて飼い主あてへ更新に関する通知が届く。鑑札期間は1年から最長5年までを選ぶことができ、避妊や去勢済みかどうかで手数料が異なる。
さらに、公共の場所では、鑑札で付された番号を記載したタグを犬の首輪に付ける必要がある。ニューヨーク市のホームページでは、上記番号を使用して逃げた犬を検索するシステムがある。
2.狂犬病予防接種を受けること
飼い主は、生後4か月(ニューヨーク市では生後3か月)までに犬へ狂犬病予防接種を実施する必要がある。2回目の接種以後は、接種するワクチンの種類にもよるが毎年または3年ごとに再接種を行う。
3.犬は6フィート(約1.8メートル)以下のひもや鎖につなぐこと
外出するときは、6フィート(約1.8メートル)以下のひもや鎖を使用することを義務付けている。違反すると$200から$400を支払うこととなる。ただし、公園・レクリエーション局の管理下にある施設においては、時間帯によってはひもや鎖を付けなくてもよい。
4.犬を鎖等でつないだままにしてはいけない
2011年、ニューヨーク市議会は、屋外で犬を連続12時間以内に3時間以上、拘束することを禁止する法案を可決した。併せて、重い鎖や首に絡まるような鎖の使用も禁止された。違反すると、書面による警告書或いは$250以内の罰金に処される。さらに悪質となれば、$500以下の罰金または、3か月以下の懲役、またはその両方に処される。
ニューヨーク市の事例ではないが、デラウエア州ミルフォードで、夏の暑い日、ひもに絡まり、怪我をした犬がいると通報を受けた動物管理局職員が現地へ赴き、犬の対応を行ったが、結果、死亡した。その後の調査で犬への虐待行為や数時間前から外で拘束していたことが判明し、飼い主が起訴されたという事件があった。
5.排泄物を処理すること
犬のふんを除去し、適法な方法で処分しなければならない。ごみ袋に入れて持ち帰って処分をする。或いは、ふんを密閉された袋や容器に入れ、公共のごみ箱に捨てることもできる。違反すると罰金として、$250を支払うこととなる。
2018年、ニューヨーク市はふん害対策として、市内の公園に、1,000台の排泄物袋を配布する機器を設置した。設置にかかった費用は、$86,000。管理は、公園・レクリエーション局の職員が定期的に排泄物袋を補充すると発表した。
ニューヨーク市ではないが、ヴァージニア州チェサーピーク市にあるハンプトンロード計画地区委員会の助成金を活用してペットの排泄物ステーションを設置している事例がある。設置者は、ステーションの維持管理をすることができる近隣住民やコミュニティグループ、不動産管理会社を対象としている。助成金の対象となる活動は、近隣住民へステーション設置や使用方法の周知を行うこと、ステーションに備え付けられたごみ箱や排泄物袋の管理である。(https://askhrgreen.org/grants/pet-waste-station/)
日本では、犬のふん害対策として、啓発用のチラシや看板を作成し、無料で配布している自治体がある。上記のように助成金を活用した排泄物ステーションの設置を市民と協働して運営することもふん害対策の一つになろうかと考える。