ニューヨークのNIPPON CLUBで、10月20日(金)と10月21日(土)の2日間、二戸市の浄法寺(じょうぼうじ)漆を紹介する「浄法寺塗り展覧会」が開催されました。
二戸市は岩手県内陸北部に位置する人口約3万人の市で、国内生産量の約7割を占める日本一の漆の生産地です。「浄法寺漆」は、世界遺産に登録されている鹿苑寺金閣、中尊寺金色堂、日光東照宮など、日本の代表的な国宝建造物の修復、保存に使用され重要な役割を果たしています。二戸市がニューヨークで行うこのセミナーは今年で5年目を迎えます。
10月20日は、「日本の漆とその工芸について」と題したセミナーが開催されました。漆芸家の町田俊一氏から「浄法寺塗り」の歴史や漆の採取方法などについての講演が行われ、実際に漆を塗る行程の実演が行われました。
セミナーの参加者からは、漆掻き職人・木地師・塗り師と様々な職人が関わっていることへの驚きが語られた他、漆の器は光沢のあるものとそうでないものがあるのはなぜか、漆器を長持ちさせるにはどうしたらいいか、など様々な質問があり、興味は尽きない様子でした。なお、漆器は使うほどに漆が硬度を増し、光沢が出てくるそうで、日常使いをして水洗いをして湿気を保つことが長持ちをさせるコツだそうです。
また、ニューヨークのメトロポリタン美術館では企画展「Japanese Bamboo Art: The Abbey Collection(日本の竹工芸展)」が開催されており、10月22日には同美術館で開催されるプログラム〝Sunday at the Met〟において、Fujinuma Noboru氏による竹工芸の実演の後、漆文化を支えてきた浄法寺漆の魅力を伝える講演が行われました。Sunday at the Metは美術館への理解を深めるパネルディスカッションやパフォーマンスが行われる人気のプログラムとなっています。講演では、アーティストのSuzanne Ross氏から漆の魅力が紹介され、また浄法寺での漆採取の様子などを収めたPR映像が放映され、大きな拍手が起こっていました。
二戸市では5年間にわたりニューヨークでの漆セミナーなどのPR活動が行われているだけでなく、美術館との協働など新たな取組もなされています。ニューヨーカーに、漆の魅力が着実に受け入れられてきていることを感じさせる2日間となりました。