9月26日、ニューヨークのJapan Societyで、「How to Eat Like a Samurai」と題して武士の食事、和食を紹介するイベントが開催されました。ニューヨークでシェフとして活躍し、石川県の食文化大使としても活動しているマイケル・ロマーノ氏がモデレーターとなり、饗応料理研究家で管理栄養士の緋宮栞那(ひみや・かんな)氏が講演しました。緋宮氏は現在の石川県を主な領地としていた加賀藩主・前田利家に仕えた料理人の末裔で、加賀百万石の食文化と歴史を紐解きながら和食の魅力を紹介しました。
講演では、武士の食事は、戦に備えて十分な英気を養い機敏に動けるよう、旬の野菜をふんだんに使った薬草膳であったことや江戸時代には大名が食でもてなすことは和解へつなげる手段の一つであったこと、また加賀藩は財力のほとんどを文化政策に費やしたことにより、金沢を中心に武家文化が花開き、能や芸妓などの文化が現代まで残っていること等が説明されました。
さらに、武士の食事は、季節・形・色・香り・味・器それぞれで陰陽のバランスを取ること、そして「六味」「五色」「五法」を組み合わせた薬草膳であったそうです。六味とは「甘い・酸っぱい・辛い・苦い・塩辛い」に「旨味」を加えた6つの味覚、五色は「白・黄・赤・青(緑)・黒」、五法は「生・煮る・焼く・揚げる・蒸す」という調理法を指します。さらに、四季の食べ物(旬の食材)を使うことで作る人・食べる人両者に自然を敬う心が培われたといいます。
講演後には、ロマーノ氏と緋宮氏のトークセッションも行われました。ロマーノ氏からは、和食は一人一人にお盆で配膳され欧米で見られるビュッフェ形式は無いことや、和食の料理人の旬の食材に対する知識の深さへの驚きが語られました。
セミナー後には、石川県の蔵元11社による日本酒等の試飲や食品会社4社による試食が提供されました。参加者は日本酒の蔵ごとの味の違いや柚子を使ったゆべしなどの石川を代表する食を楽しんでいました。
「サムライ」というフレーズや和食に興味を持ち参加した人が多くいたようで、現地の方の興味を引くような言葉・題材を使うことも集客やPRには効果的であると感じました。
※Japan Societyは、1907年にニューヨークに設立された非営利団体で、日米間の相互理解を深めるため政治経済、芸術文化から教育にいたる様々なプログラムを年間を通じて開催しています。