ニューヨーク市のブルームバーグ市長の12月31日での任期満了が接近するとともに、最近、彼の3期・12年間の政権を顧みて評価する記事等が増えてきました。その中のひとつが8月18日のニューヨークタイムスに掲載され、経済・建設・環境等の様々な分野での同市長の影響力を表すニューヨーク市の変化について紹介されました。
おそらく、一番目立つ変化は町の風景でしょう。市の全面積の37パーセントの土地利用規制(ゾーニング)の変更を行ったことにも促進され、約4万棟の新しい建物がこの12年間に建てられ、マンハッタンだけではなく、ブロンクス地区などの「アウターボロー」にも高層ビルから一戸建ての住宅までの新築があります。
あまり目立たない変化でしょうが、多くの人にとってひとつのありがたい政策は公園やバーでなどでの禁煙条例です。提案されたときにバーやレストランの経営者等に強く反対されましたが、結局、バーテンダーやウェートレス、煙深い職場で働かないといけない人たち、を含めて一般市民に人気があり、大成功と評価されています。これとあわせて、Citi Bike の自転車共用サービスや自転車専用レーンなども備え、ニューヨーカー(市民)の健康が様々な面で良くなっていることも統計にも見られます。
もうひとつの事業が町中の自然を増やし、持続性を向上するとともに居心地の良い環境にします。これは「百万本の樹」(Million Trees NYC)の取り組みです。12年間にブルームバーグ政権が75万本の樹を植え、ニューヨーク市の路地や公園でよく見かけます。今年、その一本は自分の家の前に植えられました。
ニューヨーク市は道路沿いなどでの植木を45種類も許可しています。家の前にあるのはBaldcypress(沼杉)です。5月の上旬に植えられ、しばらくしてから色が良くなり、新しい葉っぱや枝がいっぱい生えてきました。沼杉は最終的に20-30メーターの高さに上ることもあります。これだけ大きな樹は将来暴風によって家の上に倒れることも多少不安ですが、立派な樹に成長することを期待しています。
5月の時点で
8月の時点で
「Million Trees NYC」はニューヨーク市の長期計画、PlaNYC、に含まれている132事業の一つです。官民連携で実施され、市が70万本の樹を公園や道沿いなどで植え、民間のパートナーが残りの30万本を私有地などで植える予定です。100万本を植えると、2001年に比べ、市全体の樹の数を20パーセント増やすことになります。
緑豊富の環境はみなのためになります。雨水流出の削減・ヒートアイランド現象の防止・空気の浄化・日陰などの効果があり、住み心地の良い環境だけではなく、資源利用の節減やインフラ整備の節約にもつながります。
「百万本の樹」の事業は樹を植えるだけではなく、研究もします。「百万本の樹顧問委員会」の「研究・評価小委員会」は研究者と政策作成担当者の調整役を務め、市の自然環境に関する理解を深めようとしています。研究関係の資料や情報は以下のページに:
http://www.milliontreesnyc.org/html/about/research.shtml
持続可能な社会の促進や気候変動への対応策のひとつとして、自然環境を大事にするだけではなく、積極的に増やさないといけないのです。庭先から地球への努力です。
Million Trees NYCのウエブサイトは:
http://www.milliontreesnyc.org/html/home/home.shtml
Matthew Gillam
上席調査員