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バンクーバー市

6月の3日から5日までバンクーバー市に久しぶりに行ってきた。いつも活気のある町だが、ちょうどその土曜日にスタンレー・カップのアイスホッケーの決勝戦があり、特に賑やかだった。

開発・再開発のプロジェクトは多いが、2・3年前と比べてそんなに変わっていないように見えた。前回はちょうどオリンピック開催の前に行き、もうすでにいろんなオリンピック関連の開発事業が着々と進んで完成しそうなところだった。フォルスクリークの水辺にあるイエールタウンという地区などに建ってきたおしゃれなコンドミニアムが一番目立っているが、それだけでなく、全体的に町の再開発が進み、バンクーバー地域の中心部に住みたがる人が相変わらず多いらしい。バンクーバーで仕事をしている友人によると、あいにく、家あるいはコンドミニアムを買うどころか、アパートを借りることさえほとんど無理だと話していた。カナダの不動産市場が下落しなかったのはある意味では幸いだっただろうが、ある意味では困ったことであるようだ。(その周りのノース・バンクーバー市、リッチモンド市等も同じような問題を抱え、「バンクーバー」というと、実はその地域の全体を指す。)

空港と町をつなぐカナダラインの電車は、ちょうど前回のバンクーバー訪問の時期から営業を開始していたが、今回はじめて乗ってみた。使いやすく、乗り心地もよく、カナダラインができたおかげで交通の便がかなりよくなっている。これから、電車沿線に開発プロジェクトがどんどん増えるだろう。

バンクーバー市は持続可能性に関する政策やグリーン政策で有名で、いつも世界の最も住みやすい町の番付のトップに含まれる。近年、環太平洋への窓口として経済的に発展し、聞くところによると中国人の間で特に人気があり、投資が流れ込んでくるらしい。市の統計によると人口は毎年平均で6,000人程度増えているようで、住居の需要を満たすことが常に課題になっている。これに対応するために、市のウエブサイト http://vancouver.ca/commsvcs/planning/stats/redevelopment/index.htm で見られるように一昔前の割と小さな建物の代わりに、敷地いっぱいを活用して大きなビルを建てるようになった。また、イエールタウン等に高層コンドミニアムを建て、富裕層にもアピール。

高層住宅といえば、2011年5月17日の新聞Globe and Mail(カナダの日刊紙)の記事によると、人口密度が高く、高層住宅の多いところに住むと健康の問題が比較的多くなり、特に2型糖尿病等にかかりやすいことが調査によってわかった。統計上、一番ひどいところはニューヨーク市やトロント市のスラムの付近で、周りの環境は散歩や外出をするのにあまりよくない。しかし、一方で、バンクーバーの高層住宅が紹介され、緑豊かな活気のある街並みの中にあり、住民の健康的な生活を支えている例として賞賛された。

「海と空の間」にあるバンクーバーは、美しい風景と穏やかな気候を有する町で、住み心地のよいところである。ただ、交通渋滞がひどく、住居を確保するにはかなりのお金が必要。人口が増えてくればくるほどこんな問題が深刻になるばかりで、市に対する反発も出かねない。市にとっては人気があり、発展し、栄えることが、もちろんありがたいことだが、きちんと管理し調整をしないとその人気も発展も消えてゆく可能性もある。しかし、今の時点では、バンクーバー市はインフラ整備や都市開発の政策の面でいい基礎ができ、長い目でその開発の成り行きを見極めているようで、今度また訪問できるチャンスを楽しみにしている。

フォルスクリーク沿いに建つコンドミニアム

2011年6月24日

執筆 Matthew Gillam, Senior Researcher