5月18日~21日、立田所長と4月に赴任した所長補佐5名でミシガン州ノヴァイ市を訪問し、市内の様々な施設を訪問する機会を得ました。その中の一つであるフォックス・ランという高齢者向け施設についてご紹介します。
1.充実した設備
フォックス・ランは緑に囲まれた広々とした敷地に約1,000人のもの高齢者が住む大規模な居住施設です。現在、ほぼ満室となっているほか、建設中の新たな棟も予約で埋まっているとのことでした。内部を見学し、充実した設備や入居者の生活を垣間見て、多くの人が入居を希望する理由がよく分かりました。
各部屋には、1つまたは2つのベッドルームがあり、それぞれにキッチン、浴室、リビングなどがついています。入居費は月800~2,900ドルで、食事と、電話代以外の光熱費等も含まれているそうです。
訪問して、施設内の設備・サービスが非常に充実していることに驚きました。複数の食堂ではそれぞれ日替わりでメニューを提供している他、図書室、フィットネスルーム、プール、売店、美容院、ATM、その他、入居者のアクティビティに利用されている様々な部屋があります。美容院にはネイルサロンのコーナーもあり、また、コンピュータールームやシネマルームもありました。しかし、最近では各入居者がパソコンを持つようになったのでコンピュータールームの使用者は減っているということです。市内と施設を繋ぐバスもあるそうですが、施設内だけでも十分に生活が可能となっています。特に、薬局も備わっており、その向かいの部屋には医師が定期的に来て処方箋も出してもらえるとのことで、高齢者にとっては非常に便利かつ安心ではないかと感じました。
複数ある食堂の一つ
歓談中の入居者やビリヤードに興じる姿も見られました
薬局で薬の処方を待つ入居者
2.生き生きと暮らす入居者
充実した設備を活かし、施設内では様々なアクティビティが行われています。掲示板には各種の趣味のクラスの案内が張り出されており、見学中にも有料のエアロビクス教室でアップテンポな曲に合わせて元気に体を動かす多くの入居者や、フィットネスルームでトレーニングする入居者などを見ることができました。また、ペットの飼育も可能とのことで、緑豊かな庭で犬と散歩する姿も見受けられました。廊下ですれ違う多くの高齢者は非常に溌剌とし、誰が入居者なのかスタッフなのか分からないくらいです。とはいえ、入居者の健康確認もきちんとしており、この施設では、各部屋の入口に小さな留め具のようなものをつけてドアを開くと自動的に動くようにして、その留め具の状態で職員が簡単に、朝、入居者が部屋の外に出たかどうか確認できるようにしていました。このように、安全な環境の中で各自が自分の好みに合わせて様々な活動をしたり、あるいはのんびりと過ごすことができる入居者を羨ましく思いました。
また、視察の中では、高齢者が経済的な問題などで施設を退去する時にお金が支払われるファンドを設けているという話や、奨学金制度の説明もありました。奨学金制度については、高校生が施設内の食堂で一定時間以上配膳作業等を行うと、月1000ドルの奨学金が支給されるというもので、我々クレア職員だけでなく、同行してくれたノヴァイ市の若いスタッフも感心していましたが、地域にも溶け込んだ施設であると感じました。
掲示板に張り出されたイベント等の案内
3.研修をとおして
ニューヨーク事務所に赴任して早くも二ヶ月近く経ちますが、今回、初めてニューヨーク市以外のアメリカを訪れました。少し見慣れてきたマンハッタンの景色とはまったく違う、緑豊かで広々とした景色に癒されながら、ノヴァイ市のスタッフや訪問先の皆さまの親切で熱心な説明を受け、アメリカの行政や福祉サービスについて学ぶことができたことは大変貴重な経験であり、関係者の皆さまに深く感謝いたします。