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JETAA(JETプログラム経験者の会)アメリカ各支部による姉妹都市交流などの日本の自治体支援活動の状況(2012年6月)

アメリカでは、多くのJETAA支部が、直接、間接に、日本の都道府県や市町村の支援を行っています。こうした活動は、JETAAにとって日本とのつながりを維持する一つの方法でもあります。JETAA各支部による、姉妹都市交流への参画、旅行博などにおけるボランティアとしてのPR活動、アメリカで組織されている県人会その他の日系団体との連携などの状況を御紹介します。

姉妹州県・姉妹都市交流関係

ほとんどすべてのJETAA支部で姉妹都市交流に関わる何らかの活動が行われていますが、ここではいくつかの代表的な例を御紹介します。

ワシントンD.C.には姉妹都市はありませんが、D.C.支部のメンバーは、アメリカの姉妹都市交流推進団体であるSister Cities International(SCI: 国際姉妹都市連盟)に協力し、SCIによる2011年の日米姉妹都市交流活性化のための補助金プログラム(Leading Asia: Renewing the U.S. and Japan Sister City Network)の審査に携わりました。

ボストンを中心とするニューイングランド支部は、ボストンの姉妹都市である京都市、スプリングフィールドの姉妹都市である滝川市、コンコードの姉妹都市である七飯町などとの交流に参画する機会を熱心に探しています。特に京都市とボストンとの関係は、両市がともに文化面で特徴ある都市であることから、アニメや漫画を含め、興味深い交流が行われています。現在のニューイングランド支部長は、マサチューセッツ州北海道協会のメンバーにもなっています。

ニューオーリンズの支部は、2011年10月に姉妹都市松江市から市長訪問団が訪れ、ニューオーリンズ美術館で行われた日本祭に参加した際、訪問団との交流の機会を持ちました。

カンザス・シティに拠点を置くハートランド支部は、長年、ハート・オブ・アメリカ日米協会との交流関係を持っています。また、同支部の孫支部であるネブラスカ支部とカンザス支部は、それぞれの地域の姉妹都市交流(オマハ・静岡、ローレンス・平塚)に関わっています。少し昔の事例になりますが、大きな行事としては、2007年に倉敷市から市長及び500名の市民団がカンザス・シティを訪問して姉妹都市交流35周年を祝った際にも、ハートランド支部が支援を行いました。

シアトルを拠点とするパシフィック・ノースウェスト支部は、シアトルと神戸市、ワシントン州と兵庫県の姉妹都市/州交流に貢献しています。メンバーは兵庫県ワシントン州事務所と協力関係にあり、2011年8月に井戸知事がワシントン州を訪問した際は、兵庫県と自治体国際化協会ニューヨーク事務所が共催したイベントで、JETプログラム参加時の経験に基づいて現地関係者にプレゼンテーションを行うなどの支援を行いました。同支部のメンバーは、シアトル・神戸姉妹都市協会(会長と委員二名)、兵庫県ワシントン州事務所(勤務、ボランティア及びインターン)、タクイラ・三好姉妹都市協会(委員長及び通訳)などにも参画しています。JETプログラム経験者でシアトル・神戸市姉妹都市協会会長であるカリン・ブラックさんと、シアトル副市長のダリル・スミスさんは、2012年5月に姉妹都市提携55周年を記念するため、約30人の訪問団を率いて神戸市を訪問しました。

ポートランド・札幌姉妹都市協会との連携を強化するため、ポートランド支部は、同協会の委員に、支部のメンバーを支部の正式な代表として参加させています。

南カリフォルニア支部のメンバーは、前述のSCIが2011年9月にカリフォルニア州リバサイドで行った会議に参加し、同支部共同代表の一人であるラッセル・イリエさんが、青年交流のベスト・プラクティスを紹介するパネルディスカッションのパネラーを務めました。また、別のメンバーであるオードリー・シオミさんは、以前リバサイドの姉妹都市である仙台市でCIRを務めていましたが、SCIの会議に合わせてリバサイドを訪問し、震災復興に対する支援の御礼と復興状況の写真展示を行った仙台市副市長一行を支援しました。オードリーさんはまた、支部のメンバーに働きかけて、支部区域内の姉妹都市交流への参加を促すとともに、宮城の観光と地元経済の復興促進のために活動しました。

ハワイ支部のメンバーは、2012年6月に広島市長を含む訪問団がホノルルを訪問し、広島市の観光PRや文化紹介などを行った際、ボランティアとして、ステージでのPRイベントや、街頭での広島市紹介ブースの運営に協力しました。

デトロイトを中心とするグレート・レイクス支部は、2010年にミシガン州ノバイで行われた、ミシガン・滋賀姉妹州・県委員会による和菓子プロモーションイベントに、メンバーをボランティアとして参加させました。同支部メンバーの熱心な協力もあり、このイベントは大成功となりました。

フロリダ支部のメンバーの一人は三菱重工アメリカに勤務していますが、姉妹都市である鹿児島市から訪れた市長をトップとする訪問団が、三菱重工製のマイアミ空港内交通システムを視察した際、説明に加わりました。また、その他のメンバーも、州内の日本との姉妹都市交流に参画しているとのことです。

姉妹都市以外の日本関係団体等との協力

JETAA支部のメンバーたちは、姉妹都市以外の関係での日本からの訪問団なども支援しています。彼らは常に日本関係団体・組織との連携の機会を追求しており、日本や日本製品のプロモーションにも熱心です。

ニューヨーク支部は、ニューヨークにあるいくつかの県人会、特に「九州ばってん会」と、強い協力関係を持っています。また、2012年3月に行われた旅行見本市、ニューヨーク・タイムズ・トラベル・ショーでは、東北地方に勤務したことのある同支部メンバーが、自治体国際化協会ニューヨーク事務所がJNTOニューヨーク事務所と連携して出展した東北地方観光PRのためのブース運営をボランティアでサポートし、来場者に自らの体験談やおすすめのポイントなどを説明し、PRに大きく貢献しました。

ボストンのニューイングランド支部のメンバーは、ボストン日米協会や在ボストン日本国総領事館が開催する日本酒や日本茶などの紹介イベントに参加するほか、最近は、ボストンのローガン国際空港で行われている日本写真展に写真を提供しています。同空港の国際線ターミナルには、支部のメンバー16人から提供された39枚の日本各地の写真が展示されています。写真展は夏まで行われる予定です。

シカゴ支部は、各種イベントで日本の旅行ガイドやその他の旅行関連の景品を提供するなど、日本の観光振興に努力しています。また、日本の旅行ガイド著者による講演会や、日本の写真展開催なども計画中です。また同支部のメンバーは、毎月、日系アメリカ人の高齢者・障害者介護施設であるヘイワ・テラスを訪問し、入居者との交流を行なっています。

ポートランド支部のメンバーは、2012年4月に行われた日本酒プロモーションイベント(Sake Fest PDX)でボランティアを行うとともに、同イベントの周知宣伝にも協力しました。イベントの収益金の一部は、オレゴン州日米協会の運営に当てられることとなっています。イベントでは、日本各地及び米国内で製造された日本酒を集め、チーズ、チョコレートなど伝統的な日本酒のおつまみではない食物との食べ合わせなど、新しい日本酒の楽しみ方を紹介しました。同支部はまた「料理の鉄人」コンテストも開催し、有名な日本酒ソムリエであるマーカス・パカイザーさん(石川県在住経験者)による日本酒テイスティングと合わせて、多くの日本料理を取り上げています。

サンフランシスコを拠点とする北カリフォルニア支部は、日本広報文化センターと協力し、2012年3月に、和歌山の熊野古道とエコツーリズムを紹介するイベントを開催しました。また同支部は、人間国宝である狂言師の野村万作さんが2012年5月にサンフランシスコで公演を行う際、主催者と協力し、通訳やイベント広報の支援を行いました。

ハワイ支部は、ハワイで行われる広島県人会、福岡県人会のイベントに参加するとともに、支部メンバーのネットワークを通じてイベントの広報も支援しています。

ミネソタ支部の代表アレクサンドラ・ハウェスさんは、Japan Tourist (http://japantourist.jp/)という、一般読者が日本の旅行情報を紹介し、日本に関心がある人の日本旅行を支援する旅行情報ウェブサイトの運営に参画しています。アレクサンドラさんは、特にJETプログラムで勤務した春日市と、福岡市のPRに力を入れています。また、同支部のメンバーは、最近日本からミネアポリス及びセント・ポール地域を訪れた訪問団に情報提供を行ったとのことです。

交流への協力

前述のとおり、アメリカ中のJETプログラム経験者が、日米の文化交流・経済交流を強化しようと努力しています。そのような活動をさらに強化するため、JETAAアメリカは、日米間の訪問や交流を目指す団体・グループに対して、助言やコミュニケーションの支援(通訳・翻訳を含む)を提供する取組みを開始しています。折しも、前述のSCIでは、国際交流基金の支援を受けて日米姉妹都市交流の再活性化に向けたプログラムを実施しており、草の根の日米交流の重要性が幅広い意味合いで再認識される中、この時期にJETAAアメリカでこうした取組みが進められることは大変時宜にかなったことです。JETAAアメリカの姉妹都市(州・県)交流に関する支援等の情報については、以下のウェブサイトをご覧ください。

http://www.jetaausa.com/national-initiatives/sister-cities-states/support-services/

2012年6月 マスユー・ギラム調査員

日本語訳 川崎穂高 上席調査役