2022年4月9日(土)・10日(日)に、ワシントンD.C.において、第60回さくら祭り―ジャパニーズストリートフェスティバル(以下「さくら祭り」という。)が開催された。
[ワシントンDC日米協会のさくら祭りホームページより]
クレアニューヨーク事務所は、アフターコロナの北米圏における対面交流再開および新たな交流の呼び水にするとともに、地方自治体の北米における地域産品のプロモーションなどの機会の創出、インバウンド観光誘客促進を図るため、本イベントへのブース出展を初めて企画した。その企画段階から当日のブース出展の様子まで、実務上の課題や来場者の反応などを交えながらお伝えする。
さくら祭りの概要
さくら祭りは、毎年3月~4月にかけてワシントンD.C.で行われる「National Cherry Blossom Festival(全米桜祭り)」のクライマックスとして開催される日本文化を伝えるイベントであり、連邦議会議事堂の目の前に延びるペンシルバニア・アベニューの3番~7番通りで、パフォーマンスや物販、文化・芸術体験、試食・試飲などが行われる。新型コロナウイルス感染症の影響により、今回は3年ぶりの対面開催となった。
[さくら祭り会場当日の様子]
さくら祭りの出展企画
クレアニューヨーク事務所では、主催者であるワシントンD.C.日米協会と協議の上、日本の地方の魅力を伝えるための自治体ブース出展を企画し、昨年7月にさくら祭りに出展する自治体を募集した。その結果、沖縄県、熊本市、広島市、茨城県境町の4団体が出展することとなった。一方、職員などの渡米なしでのPRを行う可能性について複数の自治体から相談を受けたことから、それらの自治体のPRを行うためのクレアブースを別途出展し、合計5ブースを出展することとした。
クレアブースのコンセプト
クレアブース出展に際しては、日本の各地方が持つ様々な魅力を発信していくことをコンセプトに出展内容を検討した。視覚的に来場者の興味関心を引くために各自治体にポスターやプロモーション動画を提供してもらうとともに、パンフレットの配布を通じて各地をPRすることにした。PRに際しては、おすすめの観光地やイベント、訪問時期、地域の特産品、PRポイントなどを記した資料を各自治体から提出してもらうことで、当事務所の職員がより具体的な各地のコンテンツを紹介できるようにした。
[クレアブース(PRスペース)]
また、子ども連れの来場者が一定数あることを想定して、折り紙やけん玉などの体験スペースを設置することで、保護者の方々が気兼ねなく私たちのブースにとどまっていられるよう工夫した。そのほか、各自治体から提供を受けた桜の名所などのポスターを背景に写真を撮ることができる撮影スポットを設置した。
また、来場者に対して、アンケート調査を実施(回答者にはノベルティをプレゼント)し、訪日旅行意欲や出展内容についてのリサーチを行った。
さくら祭り当日の様子
イベント当日を迎え、私たちのブース(クレアブース+4つの自治体ブース)は、会場中心の「Beyond Tokyo」という、地方のPRにフォーカスしたエリアに設置された。
[クレアブース設置エリア(会場中央・Beyond Tokyoエリア)]
クレアブースでは、先述のとおり、パンフレットや動画によるPRスペース、折り紙・けん玉などの体験スペース、撮影スポットを設置した。
4つの自治体ブースでは、観光パンフレットやポスターなどによるPRに加えて、沖縄県ブースでは沖縄県人会によるエイサーや琉球空手のパフォーマンス、熊本市ブースでは地域産品の試食・試飲やアニメワンピースとコラボした復興プロジェクトの紹介、広島市ブースでは地元企業で米国に進出しているOtafuku Foods, Inc.のオタフクソースの試食、茨城県境町ブースでは花火大会のPRなど、それぞれの地域の強みを活かしたプロモーションを行っていた。
いずれのブースも2日間を通じて、終日来場者が絶えない状況であり、準備していたパンフレットやノベルティなどはほぼ配りきることができた。体験スペース・撮影スポットも非常に好評で、年齢に関係なく多くの方に楽しんでいただけた。
ブースでは、来場者から以下のような声が聞かれた。
※特に伝統的な建造物や日本の食べ物、風景が表紙のパンフレットの人気が高かった。
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日本への観光目的の旅行が可能になり次第、訪日したいと考えている方が非常に多く、日本への興味関心の高さを伺い知ることができた。
来場者アンケート
クレアブースで行ったアンケート調査では、450人から回答を得ることができた。アンケート結果の概要は、以下のとおり。
※パンフレットなどを提供していただいた自治体には、これらのアンケート結果に加えて、ブースでの来場者の様子や各自治体に対する感想やコメント(どのようなコンテンツが人気があったか、パンフレットや動画のどのような点に惹かれたかなど)をお伝えし、今後の北米での観光イベントなどにおけるPRの参考にしてもらうこととした。
おわりに
2日間の総来場者数は、約42,000人(速報値)と発表された。今回、本イベントへの初の出展の試みだったが、日本に興味関心を持つ人々をターゲットにできる、非常に集客力のあるイベントであると感じた。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、難しい状況下での企画だったが、出展した4自治体、パンフレットなどを送付してくれた自治体、ワシントンD.C.日米協会など関係者の協力もあり、多数の来場者の方々に日本の地方の魅力をPRすることができたのではないかと思う。また、スタッフとして、ブース出展における実務上の課題を把握できたこと、来場者と直接コミュニケーションをとることができたことも大きな収穫となった。
[来場者と記念撮影をするクレアニューヨーク事務所スタッフ]
クレアニューヨーク事務所は、今後も機会をとらえて様々なイベントでの効果的なプロモーションを企画していきたい。