去る2017年2月7日、ワシントンD.C.のMESS HALLにおいて、Taste of JapanワシントンD.C.日本食協議会及び農林水産省主催の「Taste of Japan Honorary Award」イベントが開催された。レストランの経営者やシェフ、ワシントンのレストラン協会(RAMW)、メディア、日米政府関係者などが参加し、海外での日本食普及についてD.C.地域で尽力している人や団体を表彰する授賞式典、日本食に関するフォーラムおよび記念レセプションが行われた。
同イベントのレセプションでは、今回受賞したDaikayaグループのラーメンのほか、地元寿司店KAZ Sushi Bistroの寿司に加え、うどん、そば、日本酒などの日本食が来場客に振舞われた。そして、当職の派遣元である和歌山県の柿がデザートとして提供された。
日本産柿の輸出については、1986年から日米二国間で協議を継続しており、昨年10月末に植物検疫条件に係る米国におけるパブリックコメントが終了し、現在解禁に向けた手続きが大詰めを迎えている。そのような状況下で、今回、米国農務省、在日米国大使館の協力を得て、農林水産省、在米日本国大使館、JAグループ、JETRO大阪本部、そして柿の生産量日本一を誇る和歌山県が連携し、特別に米国内への持込が許可された柿を用いた日本産柿(富有柿)のPRを行うことが可能となった。
柿は、皮をむいてカットしたものが提供された。柿になじみのある人とそうでない人がはっきり分かれ、中にはそもそも果物か野菜かもわからない人もいた。しかし、ほとんどの試食者が口を揃えたのはその歯ざわりと甘さだった。メロンやりんごのようなしゃきしゃきとした歯ざわりと洋梨にも似た甘さ(試食者による表現)は、現地の人々に好まれるようである。DC周辺のエンターテインメントやレストラン情報を掲載する雑誌社のウェブサイト「ON TAP MAGAZINE」にイベント終了後掲載されていた記事に、柿について次のような記述があった。「カンタロープ(オレンジ色のマスクメロンの一種)の色と歯ざわり、微かなシナモン風味が最高である。その甘さと納得の歯ざわりは、長い夜の素晴らしい饗宴の締めくくりにちょうど良く、口の中をさっぱりさせてくれた。」。以前、ニューヨークの現地スーパーで、柿について「sweet and spicy」と表現されていたことを思い出し、甘さの後にすっきりとした後味を残すという柿の魅力を改めて当職自身も気づかされた。
アメリカでは他国産の柿は既に輸入されており、スーパーなどで手に入れることができるが、見た目の美しさやサイズの大きさで、日本産の柿は圧倒的にそれらに勝る。来場者は写真を撮るなどして感心しつつ、なぜ日本の柿はアメリカに輸出できないのか、いつアメリカで買えるようになるのか、輸出解禁になった場合、アジア系スーパー以外のスーパーでも買えるようになるのかといった質問が投げられた。
アメリカでも手に入る柿の味はというと、当職はアメリカ産の富有柿を食べてみたが、正直それなりに甘くておいしい。しかし、今回、自身も地元の柿を試食し、その質の良さに改めて気づいた。既に流通している柿や、様々な果物の中から日本産の柿を消費者に選んでもらうために、この味の違いと魅力をどのようにPRし、どのような価格設定をし、どのようにブランディングを進めるかが非常に重要になるであろう。日本の柿の輸出が解禁された後の戦略を練りつつ、無事に解禁されたという吉報を待ちたい。