ニューヨーク公共図書館は2016年、SimplyEという電子書籍の貸出・閲覧アプリを開発した。iOS版とAndroid版が提供されている。ニューヨーク公共図書館をはじめとするSimplyEを利用するアメリカ国内の図書館コンソーシアムの電子書籍やオーディオブックに加え、The SimplyE Collectionとして収集された電子書籍など、30万冊以上のコレクションを提供しており、24時間利用が可能である。
(モバイルアプリ「SimplyE」)
SimplyEに登録されている図書館の電子書籍やオーディオブックを借りる場合、利用したい図書館が発行している図書館カードを取得する必要がある。貸出数には上限が設定されている。
SimplyEを利用してニューヨーク公共図書館の電子書籍を借りるには、まず、ニューヨーク公共図書館のホームページから電子図書館カードを作成する必要がある。電子図書館カードを取得できるのは、13歳以上のニューヨーク州に在住又は在学・在勤等をしている者である。ニューヨーク州への訪問者も臨時に取得することが可能である。12歳以下の利用者は、保護者と一緒に申請することができる。このカードがあれば、SimplyEの利用のほか、雑誌専用のサイトなど図書館の幅広いデジタルツールに無料でアクセスすることができる。
次に、SimplyEアプリをダウンロードし、ニューヨーク公共図書館を選択。電子図書館カードの情報を入力してログインすると電子書籍の一覧が表示される。
最後に、貸出可能な電子書籍を選び、読書開始ボタンを押すと、閲覧が可能となる。フリックすることでページをめくることができる。貸出中の場合は、予約をすることも可能である。返却は、返却ボタンを押すか、貸出期間が終了となれば自動的に返却される。
一方、The SimplyE Collectionの電子書籍を借りる場合は、貸出数の上限がない。パブリックドメイン(著作権フリー)の古典作品に加え、最近の雑誌やジャーナルの記事も一部提供されている。図書館カードは不要で、誰でも利用が可能であり、日本からもアクセスすることができる。
新型コロナウイルスの影響により、図書館は依然閉鎖されており(2020年7月13日からは予約した書籍のピックアップ及び返却のみ再開)、SimplyEを利用するために電子図書館カード登録数が864%増加したという。SimplyEを実際に利用してみて、図書館へ足を運ぶことや図書館のホームページサイトを経由する必要もなく、数回のクリックで電子書籍やオーディオブックを利用できる手軽さを実感した。また、物理的な本を持ち歩かなくても、借りた電子書籍をダウンロードしておけば、ネット環境が無い外出先でも気軽に読書を楽しむことができる。日本の公共図書館でも電子書籍やオーディオブックの貸出が行われているが、SimplyEの使いやすいユーザーインターフェースと豊富なコレクションは大きな魅力である。